MUGENメモ ( フォント環境:MS ゴシック 標準 サイズ10 )  AIの為の 魅せに関するまとめ byADI 7:12 2009/09/14 書き始め 22:23 2009/09/14 基本書き終わり ・・・ 13:07 2010/04/17 まとめ追加 16:37 2010/04/17 考え方の修正による書き直し始め 20:43 2010/04/17 書き直し終わり 19:32 2010/04/28 10:48 2010/05/19 追記 18:08 2010/05/21 追記2 「強さの極限に娯楽はない。  そして求められるのは娯楽である。」 ■娯楽の重要性  MUGENにおいて、強さは主題ではない。  AIにおいて考えるべきは「攻略性」と「魅せ要素」である。  対人戦を考慮した場合は戦っていて面白いかどうかの「攻略性」  対AI戦(Watch)を考慮した場合は見ていて面白いかの「魅せ要素」  もちろん、対AI戦においても攻略性は魅せ要素の一つであり、   対人戦においても魅せ要素は面白くしてくれる要素である。  強さはあくまでその為の要素の1つである。  MUGENは娯楽である。楽しまなければ意味が無い。 ■対人戦における「攻略性」について  人が戦う時の攻略性は   1.勝てること   2.相手を見なければ勝てないこと   3.動作を考えなければ勝てないこと  この3つにあり、これらはプレイヤーの腕前に依存する部分が大きい。  例えば強・並キャラを使いながら狂・凶の下位でも倒せる人にとって、   並程度では攻略性が薄く、満足できないことが多くなるだろう。  だが並キャラで強キャラに勝てない、並キャラに苦戦するのであれば、   並キャラであっても攻略性が高い、という事ができる。  そのあたりはAIや相性にも左右されるが。  例えば、限定された動作しかしないAIを相手にしているの場合   その動作を攻略することになるが、それが簡単であれば攻略性は低いと言える。  反対に、複雑な動作をして読みづらく騙しにくいAIを相手にしている場合   キャラ性能に差がなければ、いかに戦うかといった攻略性が高くなると言える。 ( もちろん限定された動作だけでも、その動作の性能が凄ければ攻略性は高い。 )  その他プレイヤーが使うキャラにも、いかに使いこなすかという攻略性がある。   操作が難しい、技が多すぎる、挙動に癖がある、難しいコンボがある、など。  相手側にも自分側にも言えることであるが、攻略性に重要なのは   「なんとかして勝てる」もしくは「なんとかすれば勝てる」という難度でなければ、   楽に勝ったとしても感動など無く、楽しさに欠けてしまう。  人によっては1チャンスから10割を持っていくような相手に、   1チャンスも与えずに倒すといった、曲芸のような攻略もありうる。  もちろん、攻略できた時の感動は大きいだろう。 ■魅せ要素の概要  魅せ要素を大別すると4種類に分けられる。   キャラやネタに演出効果など試合とは直接の関係がない部分の「エフェクト」(キャラクター性とも)   試合の有利不利が移り変わって決着まで勝敗の分からない「流動性」(試合の変動性)   試合中に同じ展開が少なく常に真新しさを感じさせる「多様性」(単調でない)   難しく大変そうな動作をやってのけたと感じさせる「攻略性」(人とは異なる)  半分ほどはキャラクター本体に依存しているため、AIにできる事は限られている。 ( また、これらのどこに感動するかについては個人個人による。 ) >エフェクト ( もしくはキャラクター性など )  まず「エフェクト」はキャラクター本体に強く依存している。  どんなキャラでどんな効果をしているのかはAIの関与できない部分だが、   しかしエフェクトの強い派手な技や演出だけの動作などを使うかどうかはAIの仕事。  攻略性も含まれる話だがハイリスク・ローリターンな技はそれが明確であれば、   エフェクトの面で優秀といえる技であり、実用性は無い派手な技もそうであると言え、   それらを使わせるかどうかはAIの仕事。リスクが高いと分かるほど良い。  また、軽いエフェクトとしては超必殺技などに限らずコンボなども含まれる。  挑発は代表的なエフェクト動作。攻略性も含まれるが。 >流動性 ( 有利不利の流動・変動性の確保 )  流動性の確保は一方的な展開が可能である場合の自重などが当てはまる。  AIは与えられた命令を忠実に行うため、   攻撃なら目押しはもちろん安定コンボの完走は当たり前でキャラによっては永久など、   防御も超反応と呼ばれるような動作と高性能な技で確実に相手を封殺してしまうなど、  そうした一方的な有利を維持しつづけられてしまう事は   魅せの要素からすれば論外。  また一度やられ始めたら、全く返すことができないなども好ましくなく、   例えば固めに対してガードのみであると固められ続けたりされ、   動作もせずに不利であり続けてしまうため、何かしらの対処をしておく方がよい。  多様性も含まれるが、起き上がりにガードや回避に攻撃など複数の動作で   変化をつけておけば、同じ動作でやられ続けるということの対策ができる。  キャラによって不可能である例は、一方的な展開でしか戦えないようなキャラ程度。 >多様性 ( ワンパターンにしない・単調にしない )  多様性の確保は、ほとんど流動性とほぼ同様。  どんなに性能が良い技があったとしても単一の行動は避けてパターンを抑制し、   多少性能が悪い技であっても、あるいは下位互換の死に技であっても、   いくらか使わせることを心がけ、同じ動きだけを繰り返させないこと。  対人的な攻略性も含まれるが、分かりやすい挙動は好ましくない。  その他ただのループなども単調に見えやすく何度も起こればパターンとも見られ、   特に拘束時間の長いコンボなどを乱用することは好ましいと言えない。  流動性も含まれるが、コンボ以外では待ち戦法や露骨な当て身投げにトリカゴ、   展開が無く状況の変化がいつまでたっても現れないような状態などなど。  試合中に短時間その戦法を使う程度であるならむしろ良いかもしれないが。  キャラによって不可能である例は、技の種類が少なく元々動作が単調なキャラ程度。 >攻略性 ( 凄い動作・凄く見える動作など )  AIの攻略性とは、攻撃に対しての反撃、超必殺技の回避、暗転返し、逆転、   ハイリスクローリターンの成功など、攻略しているように見える動作である。  これは相手や見る側の知識や感覚にかなり依存するため、   AI上当然であったとしても、凄いという印象をあたえられることもあるが、   その場合反対にAI上困難な事をやっても凄いとは思わない人もいる。  例えば超反応はAIにおいて当然ではあるが、知らない人からは凄いように見えるが、   また暗転する当て身技に対して攻撃を止めても、知らない人からは当然だと見える。  それらはAIがシステムであるため反応速度においては正確無比であること、   また当て身技を参照する方法が限られ対応が難しいことを知っている人が見れば   その印象はやや異なり、正反対にもなる。得意不得意の観念が異なるためだ。  それら以外でも   自分よりも明確に格上の相手を倒してしまうことは明確な攻略性であるし、   超必殺技を潰してしまったり、絶望的なライフ差をひっくり返すことなど。  いわゆる「凄いと思わせる行動」が攻略性である。  AIに意図して組み込みたいとしてもかなりを相手に依存するため、   できることと言えば、流動性を損なわない程度条件や確率の超反応、   記憶装置などで相手の動作を判断しての動作変更くらいが、  汎用性のある対処法として私が上げられるものである。  試合中に何度も挑発を決めることもまた攻略性と言えるが、   キャラによってはキャラクターと言うエフェクトを損なうこともある為、   挑発をすることが重要なエフェクトであるキャラでなければいけない。 ■要素のまとめ  AIには、実用性や確実性にこだわらずあえて様々な動作をさせ、   時にはリスクに見合わないような技だって使わせたりし、   それでも重要だと思う時にしっかりとした動作を行わせること。  そして「良い勝負」を目指すこと。  少なくとも確実な行動ばかりでは流動性や多様性が欠けてしまい、見ていてつまらない。  単一の行動であれば対人的な攻略性は低くなりやすく、倒しやすすぎることも。  弱すぎるのは流動性や攻略性に欠けてしまい、良い勝負すらできない。  強すぎるのは相手の強さを調整すればいいかもしれないが、   自分を弱くすることもしっかりと考えておく。  使う側で調整ができるのは便利だ。 ■トドメの美学  最後の一撃には、n乗のようなエフェクトの補整が気持ちとしてかかる。  分かりやすくいえば「超必殺技でのフィニッシュはカッコいい」というもの。  例え小足や小パン、強キックの削りだけで倒せるとしても、   あえてゲージを使った技でトドメをさそうとするなどの、トドメの美学である。  ゲージ技が使えなくともせめて演出の派手な必殺技を用いるなど、   そうしたことは負ける側だとしても考慮の価値がある。  良い勝負を演じられるように。  ただし一撃必殺技などはあまりに使うのが早いと流動性を放棄するのと同義の為、   他の技でも倒せるような状態に対して使うほうが、魅せとしては望ましい。  AIに組み込む動作としては、   相手のライフが少ない場合に超必殺技を使いやすくする   自分のライフが少ない場合にガードをいつもより硬くする  などがあるだろうか。  ゲージ技を使った場合にトドメでゲージ技が使えになければ使わない、   相手のライフを考えて通常技自体を控える、などの調整も可能ではある。  そこまでいけば【劇場型AI】と呼ばれるかもしれない。  ちなみに「フィニッシュのような超必殺技をギリギリ耐えての逆転劇」というのも   大きな魅せ要素になりえる。 ■余談  エフェクトは人の好き嫌いが大きく、キャラによっても大小があり、   エフェクトだけで楽しいというようなキャラもいる。  流動性を確保するために、ライフやゲージの状況によって   動作を変動させ、有利でも不利に不利から有利を目指すキャラはそこそこいる。  多様性について、あえて単一の動作をするというパフォーマンスで   楽しいと思わせてくれるキャラもいることにはいる。  AIにおける攻略性の限界度はおおよそ超反応前提のAIで、   それらは可能な限り最善で戦おうとしてくれるが、流動性と多様性の保証は無い。  対人における攻略性を追求する場合、Anti-Playerの観点を持って、   可能な限り人が苦手とする動作を行わせることになる。 ■MUGENにおけるキャラの強さ 参考 □弱 ( 主に格闘してくれないクラス )  すでに格闘ゲームではない、意図的に極めて弱く作られたキャラクターたち。  並キャラとまともに戦えるほうが珍しいクラス。  派手な戦闘とは無縁ながらネタというエフェクトを持っていることもあり、   キャラクターによっては何かしらに特化している場合もある。 □強・並 ( KFMの辺りを基本としたクラス )  いわゆる格闘ゲームの範囲内で、リスクとリターンの調整がされている。  格闘ゲームの基本が通用し、操作次第で誰でも倒せるし誰にも負けるクラス。  KFMを初め、キャラ性能を抑える際にこのクラスを基準とするため数も多く、   「良心的な性能」であるため特に親しみやすく、使われやすい。 □狂・凶 ( 意図して、もしくは意図せず強くなったクラス )  格闘ゲームとは言いがたいほど、リスクリターンのおかしい調整が多い。  一部は格闘ゲームの基本すら通用せず、相性による部分がかなり大きい。  しかしこのクラスの下位は元々ボスキャラであることも多く、   戦い方次第では並や強で勝つことのできるキャラもいることにはいる。 □神クラス ( 特殊なシステムによる攻撃と防御を持ったクラス )  格闘をせず、どちらのプログラムが優秀であるかを競っているようなクラス。  特に上位の戦いは相性次第で、キャラによっては一秒も戦えない。  他クラスとの違いは特殊な攻撃防御システムで、それが無いと戦えず   同じクラス同士でもほとんどエフェクト効果を楽しむ状態。 □論外 ( 論外 )  論外。 ■追記  ちなみに「ある特定のキャラをフルボッコしてもらう」というものは、   それを楽しむというのは「エフェクトのみ」の娯楽である。  分かりやすく言えば、   「それが別のキャラになったとき楽しめるのか?」ということ。  「○○のキャラである必要あるの?」という疑問は「エフェクトへの疑問視」であり   じゃあ「エフェクトの無い真っ白なマネキンが楽しいか?」 という話。  もっと言えば「本当に娯楽の必要性はあるのか?」とかそういう哲学になる。 ■追記2  「見栄えの良いコンボ」は、エフェクトの要素を含んだコンボ。  「何をしているのか分からないが凄いっぽいコンボ」は、攻略性の要素を含んだコンボ。  複数種類のコンボを行う事は、多様性の要素を含ませること。 ■追記3  勝つ為だけなら慈悲も容赦もいらないが、それで他人の心も動くとは限らない。